株式会社ファーストリテイリング/ユニクロ上席執行役員堂前 宣夫

k_doumaenobuo_0http://www.fastretailing.com/jp/

1993年4月マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社
1998年9月ファーストリテイリング入社
1998年11月取締役
1999年7月常務取締役
2004年11月迅銷(江蘇)服飾有限公司 薫事長
2004年11月ファーストリテイリング 取締役副社長
2004年11月UNIQLO USA, Inc. CEO
2005年11月ファーストリテイリング 取締役
2008年4月ファーストリテイリング ユニクロ 執行役員

世界中の人が同じ方向を向いて仕事ができる本当のグローバル企業にしたい


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世界一を目指すチームに入るチャンスは、そう出会えるものではないと思います

竹内(以下T):堂前さんがファーストリテイリングに入社されたのは29歳の時でした。当時から採用に関わっていましたので、なぜ、コンサルティング会社からアパレル企業であるファーストリテイリングに興味を持たれたのか質問したことを思い出します。

堂前氏(以下D):先日、入社してすぐに受けたビジネス誌のインタビュー記事を見る機会がありました。そこでも同じ質問を受けていまして、「この会社を世界に通用する会社にしたい、トヨタやホンダやソニーのような日本発の世界企業にしたいと、柳井さんが真剣な顔で言っていたから。」と答えていました。まだ、売上が800億円くらいの頃ですが、当時から世界企業、グローバルで通用する会社を目指そうと柳井さんも真剣に思っていたし、だから僕も真剣にそう思った。それが、入社した理由だったと思います。

T:最近、次世代の経営者を目指す30歳前後の方々とお会いする機会が多いのですが、その方々とお会いすると、ファーストリテイリングについて必ず質問されることが三つあります。一つ目は、柳井さんの強烈なオーナーマネジメントだけで動かしている会社なんですか?ということ。二つ目は、堂前さんが入社された10年前の頃であれば、まだ活躍できる場があったかもしれないけれど、今、入社して本当におもしろい仕事ができるんですか?ということ。三つ目が、結局は売上至上主義でしょ?それだけでしょ?ということ。この三つの質問についてどう思われますか?


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D:まず、一つ目ですが、グローバル企業を目指すために、意識の高い人、能力のある人に入社していただき、その人達が活躍して成長してさらに活躍できるような場をつくっていきたいと、柳井さんはじめ経営陣は思っています。グローバル企業になることを本気で考え始めたということかもしれません。私たちが考えるグローバル化を実現するためには、一人の人間の力だけでは限界があると理解しています。チーム経営、全員経営、これを本気で実行に移さなくてはならない時がきたと思っています。二つ目については、この会社は、まだまだできあがっていないということです。私達が目指す世界に通用する企業になるためには、やらなければいけないこと、やれるようにならなくてはいけないこと、がまだまだたくさんあります。到達しなくてはいけないところは、ずっと遠い。ただ、本気でその世界一を目指す企業は、今の日本を見渡しても、本当に弊社くらいじゃないでしょうか。また、世界一を目指せる位置にいる企業も、日本を見渡しても、そんなに多くはないと思います。世界一を目指すチームに入って達成させる。こんなチャンス、人生の中でそう出会えるものではないと思います。歴史上でも世界中でも、本気で世界一を目指した会社は滅多にない。10年前、僕が入社したとき、僕はそう思ってチームに入りました。10年後に「あの時参加していれば。」と思える会社ってそうないですよね。今は、ただの日本企業ですが、10年後には世界中で誰もが知っている企業になっている。一つの歴史をつくろうとしている。生活にかかせないインフラを作ろうとしている。そうしなくてはいけないと思っていますし、そうできると思っている。その一員として仕事ができるというチャンスには、弊社を逃すとなかなかめぐり合えないと思います。
三つ目の売上至上主義では?という質問ですが、売上至上主義というのは、ある意味正しいところもあると思っています。人は、商品に満足しなければ購入しないですよね。売れている、売上があがる、ということは、お客様が満足されているから購入されているということだと理解しています。社内から見て売上があがっているということは、社会から見ると、喜びが広がっていることと同じだと思います。また、利益があがるということは、会社のやっていることに付加価値があるということだと思います。逆に、利益がでない、ということは、会社のやっていることには付加価値がなく、単に商品を左から右に流していることにすぎない。ですから、「売上至上主義」は、正しく売上をあげて、正しく利益を出している限り、社会に付加価値を出しながら、且つ、社会に喜びを広げているのだから、正しいこと良いことなのではないかと思います。


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T:グローバル・ワンというスローガンを発表されたり、世界戦略を意識した発信が多い中で、堂前さんが、昨年度末からフランスの事業の責任者に就任されたのもその一貫だと思います。その堂前さんが、ファーストリテイリングがグローバル化するための課題はどこにあると考えますか?

D:過去、企業がグローバル化していく中で、外国に行っても自国のやり方をそのまま押し通すという方法と、外国に行くと完全に任せてしまって口を出さないという方法のどちらかしかなかったと思います。我々は、グローバルで一つの新しいものをグローバルでつくっていこう、としています。これは、まだ、ほとんどの企業でもできていないのではないか、と思っています。日本のやり方を単純に押し付けるのではなく、今のやり方はまだまだ未熟であり、発展させなくてはならないという認識のもと、一緒により良いやり方を、グローバルワンとしてつくっていき、世界中で展開していこうという感覚です。この感覚を、各国のスタッフにも日本のスタッフにも両方に植え付けながらやっていこうということです。これは簡単なことではありません。でもそれをやらなければいけない。世界中の英知を結集させるということは、そういうことだと思うし、それをやらないと会社の発展は止まり、世界一どころかだめになってしまうと思っています。


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T:堂前さんの今までの経験や知識、特にアメリカのビジネスを立ち上げた経験は、活かされますか?

D:どんな経験も活きると思っています。すべて活きるのではないでしょうか。グローバル化ということでいうと、大切なのは国の違いとか文化の違いとか、全部飲み込んだ上で、何が正しいのか、何が世界で一番良いやり方なのか良いものなのかということを、どちらに権限があるとかに関係なく、オープンに議論して、話し合いをした上で冷静に判断して進んでいく、そして改善していく。そういうことを一緒にやっていくことだと思っています。世界で一番良いもの、根源的に良いもの、良いこと、というのは、国を超えて世界共通だと思います。過去の失敗や成功を活かして、本当のグローバルな会社にしたいと思います。何十年も一緒に仕事をしている人と同じような感覚で、世界中の人が同じ方向を向いて仕事ができるようにしていきたいです。

 

<bk_doumaenobuo_5>自分が社長のつもりで議論し合える人が仲間であって欲しい

T:新しい仲間として、どういう人に入社して欲しいと思いますか?

D:純粋な人、エネルギーがある人、肝が据わっている人です。それから使命感がある人でしょうか。この仕事は誰かがやらなければいけない、だったら自分がやろうと思える人。僕が入社した頃、「よく入社してくれた。一緒にやっていきましょう。」という仲間を迎えてくれるという雰囲気がありました。和気あいあいではあるけれど、変だと思うことは変だと言うし、本当に良いことはどういうことかということを突き詰めてやっていこうという空気が満ち溢れていました。最終的に責任を取るのは自分だと、皆が自分が経営者だというつもりで議論し、意思決定していました。社長がどう判断するかを想像するのではなく、自分が社長のつもりで、いろんな議論、決定、行動をしていました。全員経営ということがあったと思います。そういうことを一緒にできる人に仲間に加わって欲しいです。この事業を一緒に大きくしていく、その仕事を実行すること自体をやりたいと思えるような人がいいですね。「この仕事は、やっておくと自分に見返りが大きそう、自分のキャリアプランのプラスになりそう。」と思う人よりも、新しくグローバルな会社をつくっていくこと自体が世の中に価値があるし、意義があるし、自分のやるべきことだし、やりたいと思える人がいいです。何十年もずっと仲間として一緒に仕事していきたいですし、弊社では、仕事を楽しんで成果に集中していけば、結果として個人への見返りは、おのずと大きくきますから。


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どうせ、仕事をするなら社会の発展に貢献できるような仕事がしたい

T:堂前さんにとって、仕事とは?

D:仕事とは、生きることと同じですし、生きるってことは、人のために何かをするということのような気がします。世の中に対する貢献だと思います。

T:ファーストリテイリングで働くことで、それが叶えられたり、もしくは目指すことができるということですか?

D:そう思います。どうせ、仕事をするのであれば、世の中に良い影響を与えられるような、世の中を変えるような、社会の発展とかに貢献できるような仕事をしたいと思います。仕事をしている以上、皆、何かの役に立っているのですけど、「社会の役に立つためにやっている。」と自信持って恥ずかしくなく言える環境っていいですよね。ファーストリテイリングには、そういう環境があると思います。

 

日時:2009年1月5日(月)

形式:株式会社ファーストリテイリング 堂前氏・スピリッツ社長 竹内 対談